IT(情報技術)都市バンガロールを擁するインド南部の中核・カルナタカ州で州議会選挙(5月5日投票、8日開票)が実施され、中央与党の国民会議派が定数224議席中単独過半数を占める121議席を獲得、州政権奪回に成功した。閣僚や官僚の相次ぐ汚職や経済成長の減速など、逆風が続いていた国民会議派にとっては久々の明るい話題だが、同党陣営では誰も浮かれるそぶりを見せていない。有権者のシビアな審判はまさに「明日は我が身」。身内に新たな汚職スキャンダルが浮上している国民会議派では、むしろ党内の引き締めを図る動きすら出ている。

 それもそのはず、今回の選挙結果は前の州政権党で中央における最大野党インド人民党(BJP)のいわば自滅。5年間で3人の州首相(チーフ・ミニスター、県知事に相当)が入れ替わるという政権の不安定ぶりに加え、B.S.イェデュラッパ前州首相が汚職容疑で逮捕されるというスキャンダルや内輪もめが相次ぎ、人心が離反した結果だ。国民会議派の勝利は消極的選択として票が流れた結果、というのが大方の評価だ。

有権者の意識、大きく向上

 今回の選挙結果ではいくつかの重要な示唆が見て取れる。農民や零細商工業者らが、地主や町の有力者に指図されるまま投票をしていた、という時代は遠い昔。テレビやインターネット、携帯電話の普及で今やインドの地方都市や農村にもあらゆる情報が行き渡り、政治家はもはや市民を丸め込めなくなっている。しかも有権者はより良いガバナンスが結果的に経済成長につながり、自分たちの懐具合にも関係してくる、ということに気づき始めた。彼らは慎重に各党のパフォーマンスを見極め、大事な1票を行使しようと考えている。

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