財務省の見通しはかなり意図的 (C)時事
財務省の見通しはかなり意図的 (C)時事

 財務省は5月10日、3月末の国の借金残高を発表した。国債と借入金、政府短期証券 の合計額で、総額は991兆6011億円だった。この数字をみて「あれっ?」と思われる方も多いに違いない。

 その通り。この統計は3カ月に1度発表されているが、前回つまり昨年12月末の段階で、財務省は、年度末には1085兆円となり、初めて1000兆円を超える見通しだとしていたのだ。

 

増え続ける国債発行

 実は 財務省は、「1000兆円超え」の見通しを2011年秋ごろから繰り返し出してきた。2011年11月に9月末の残高を発表した段階で、「2011年度末には1024兆円に達する見通し」としたのがおそらく最初。それまで995兆円という見通しを発表してい たが、東日本大震災を受けて11年度の第3次補正予算で11兆5500 億円の復興債の発行を盛り込んだことが、1000兆円突破の理由とされた。やり繰りでは復興財源は賄えないという理由で復興債を発行する以上、それまでの見通しである995兆円に復興債の分を上乗せしなければ辻褄が合わない。

 この見通し発表を受けて、大手メディアは「初の1000兆円突破」「日本の財政は危機的」とこぞって報道した。ところが実際には、11年度末の借金は959兆9503億円に留まった。

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