大地震と津波による未曾有の災害に襲われたインドネシア政府からの要請を受けて、防衛庁・自衛隊は国際緊急援助隊派遣法に基づき、過去最大規模となる陸海空自衛官約八百人の大部隊を、被害が最も深刻なスマトラ北部アチェ特別州に派遣する。先遣隊に続いて一月六日に航空自衛隊の輸送機が日本を出発、続いて中旬には海上自衛隊の輸送艦など三隻、一月二十一日には陸上自衛隊の本隊約二百三十人も現地に向かう。 アチェ特別州は一九七六年以来、インドネシア国軍と独立組織「自由アチェ運動(GAM)」の戦闘が続く紛争地。インドネシア政府とGAMは地震・津波発生後に一時停戦を宣言したものの、戦闘は続いている。「アチェの治安状態はかなり悪く、危険らしい」――派遣が決まった防衛庁・自衛隊内ではこうした声が相次いでいる。このため、治安情勢を考慮して陸自はヘリコプター部隊の活動拠点を、陸上ではなくアチェ沖に展開する海上自衛隊の輸送艦に置く計画をたてている。 地震発生以降の現地報道や、現地から届くGAMや人権団体の報告によると、インドネシア国軍はGAMに対する攻撃の手を緩めてはおらず、そのせいもあって被災者支援は円滑に進んでいないという。

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