昨年、UFJホールディングスへの買収にあくなき執念を燃やした三井住友フィナンシャルグループ。いまや望み薄となったUFJに代わる買収先として、りそなホールディングスを標的にし始めたようだ。 りそなは約二兆円もの公的資金の注入を受けているが、「現在の収益力では、二〇〇八年三月末までの健全化計画期間中の返済はまず無理」(大手銀幹部)という状態。また、公的資金注入によって、現在のりそなの筆頭株主は預金保険機構になっているものの、同機構が保有する優先株は〇九年に普通株へ転換することができる。 そこに目をつけたのが三井住友。「預金保険機構に水面下で接触し、同機構からりそな株の譲渡をうけて経営権を握る」(三井住友FG関係者)計画なのだという。 三井住友の狙いはまず、年間百億円前後の利益を出すりそな信託の入手だが、もうひとつ、りそなと親密な関係にある野村証券との関係強化もある。三井住友がりそなを取り込めば「野村とのパイプも太くなる」(三井住友銀幹部)との思惑が働いているようだ。 一方、野村も銀行ビジネスに色気を示しているとされる。金融庁が新しい金融行政の指針として定めた「金融重点強化プログラム」で総合金融機関の誕生を促すことを打ち出すなど、銀行と証券の垣根がなくなりつつあるためだ。

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