経営再建中の東急建設に、大手ゼネコンの清水建設、鹿島、大成建設が相次いで触手をのばしている。東急建設は建設部門と不採算の不動産部門を分離し、建設部門を引き継ぐ受け皿会社を核にした再建を進めている最中だ。 この受け皿会社は二〇〇三年八月に第三者割当増資を実施したが、その際、前記の大手ゼネコン三社はそれぞれ三十億円前後ずつ出資。狙いは「東急グループが持つ渋谷などの駅前開発事業」だと、清水建設幹部は打ち明ける。 もちろん、東急グループは渋谷以外にも東横線や田園都市線などの沿線沿いの一等地に数多くのプロジェクトを抱えている。「東急建設を買収して主導権を握れば、グループの受注案件を『総取り』することも可能」(鹿島幹部)と、各社舌なめずりしているわけだ。 東急建設の大株主のひとつに東京三菱銀行系の企業再生ファンド、フェニックス・キャピタルがあるが、ゼネコン業界では「東急建設の株価は乱高下が激しく、ファンドでは支えきれない」と見る向きが多い。一方、大手ゼネコンならば「実需が伴うので、東急建設の株価が多少落ちても、そう問題ない」(大成建設幹部)。 大手三つ巴の取り合いが続く東急建設がどこに買収されるか、業界は固唾を飲んで見守っている。

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