リビアの後継者問題が微妙な展開を見せている。中東専門家が関心を寄せるのは、昨年十二月三十日、カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」に登場した国家指導者のカダフィ大佐が後継問題に言及したことだ。カダフィ大佐はここで、最近有力視されている二男のセイフ・アル・イスラーム・カダフィ氏への禅譲説を明確に否定してみせた。 カダフィ財団理事長を務めるセイフ氏は、一昨年十二月に大量破壊兵器の放棄を宣言して国際社会に復帰したリビアのスポークスマン的な役割を担っている。国際ビジネスセミナーなどで積極的にリビアを売り込むだけでなく、水面下では各国との外交関係構築にも奔走。昨年は英ブレア首相、独シュレーダー首相、仏シラク大統領など主要国首脳のリビア訪問が相次いだが、これらを陰で演出していたのもセイフ氏だとされる。 一方で、かつては隠然たる影響力を誇ったカダフィ大佐の従兄弟、アフマド・カダフィ氏などはセイフ氏の台頭と反比例して、めっきり影が薄くなってしまった。改革路線によって行き場を失った国内守旧派からは、セイフ氏に羨望と嫉妬も集まっているようだ。 ある消息筋はカダフィ大佐の禅譲否定発言について、「セイフ氏が守旧派から潰されることを防ぐため」と解説する。セイフ氏はこの春、来日が予定されている。

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