「候補者公募制」の落とし穴

執筆者:2005年2月号

「いやいやあの人は能力もあるけど、なかなかの政治家ですぞ」と会話の中で使われる「政治家」という単語には「腹黒い」とか「計算高い」とか「表と裏の顔が違う」などというマイナスの意味が込められている。政治が大きく変わろうとしているときなのに、政治家のなり手がない。政治家のイメージが地に落ちたままなのだ。これまで以上に「尊敬されない職業」になってしまった。中選挙区制度時代なら、放っておいてもだれかが立候補し、自然に新たな政治家が誕生したり淘汰されたりしていったが、小選挙区制度が導入されてから、いずれの党も立候補者はだれでもいい、というわけにはいかなくなった。 一つの選挙区で一人しか当選しない小選挙区制では、候補者のイメージが悪ければ、なかなか選挙に勝てない。どんな実力者でもフレッシュな対抗馬に簡単に負けてしまうこともある。だから勝てる候補を探すために、いまや一般から魅力ある立候補者を募る「公募制」が大はやりである。伝統的に世襲候補が多かった自民党では、このままでは次の総選挙で政権を失いかねないとして、候補者選定に躍起になっている。対抗する民主党が若い女性候補を擁立しても負けないだけの魅力を備えた候補を、と空白選挙区で次々に公募制を取り入れる構えだ。

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