北米でも中国でも、「技術」面でも不安を残しながら、日産改革の総仕上げにかかるゴーン氏。鍵はロシアが握る。 巨額の借金、低迷する販売など文字通り瀕死の状態にあった日産自動車を死の淵から救い上げ、予告通りに業績を「V字回復」させ、かつ、世界の自動車メーカーの中でも有数の高利益率企業にしたカルロス・ゴーンの「日産改革」がいよいよ総仕上げに入る。日産の自動車メーカーとしての自立を謳った「日産180」計画が最終年度を迎え、同時に、自身もルノーのCEO(最高経営責任者)を兼務することになるために、日産だけのトップとしての役割は終えるからだ。改革の仕上がりぶりと、「日仏連合企業」のトップに立つゴーン氏の今後を展望してみたい。国内販売も伸び悩み ゴーン改革の第一歩は、一九九九年十月に設定された「日産リバイバルプラン(NRP)」だった。主力の村山工場を含む国内五工場の閉鎖や、二万一千人という大規模な人員削減を盛り込んだ厳しい内容だっただけに、効果はすぐに表れた。NRPの目標は一年前倒しで達成され、「改革」は日本の企業リストラのモデルともなった。「V字回復」の勢いに乗って、自立を促す再建計画となったのが、現在進行中の「180」計画だ。世界販売「百万台増、営業利益率八%、自動車事業での有利子負債ゼロ」を目指した目標は、コスト削減や不採算事業の売却などで営業利益率は瞬く間に上昇、本業の有利子負債返済も進み、「8」と「0」は予想以上の速さで達成された。

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