短期予知に力点を置き過ぎてきた地震予知の主流派とは一線を画し、独自の「時空ダイアグラム理論」に基づいた中長期予測を行なう木村教授。その理論とはいかなるものか。大地震の危険はどんな地域で高いのか。 地震を予知する――地震学者の唯一最大の社会的使命と言っていいが、史上最大の津波被害を出したスマトラ沖地震を見ても予知の実状は心許ない限りだ。未だ確たる方法論がなく、しかも予知が外れれば研究者生命をも失いかねない。そうした宿命を負う故に肝心なときに沈黙する地震学者がほとんどの中で、木村政昭氏は十数年前から果敢に予知情報を発表し続けてきた。噴火と地震の逆相関関係――新潟中越(内陸)地震について一九九五年に、著書で危険性を予測しています。木村 当時は九八年から危険期に入ると考え、そう指摘しました。ただ、私が提唱する地震予知の考え方である「時空ダイアグラム理論」は、それまで多かった太平洋側のプレート境界型地震のデータを主に使って計算していた。その後、阪神大震災など内陸(プレート内)型地震が多く見られるようになったためダイアグラムを作り直し、二〇〇〇年に再び「まだ危険期は過ぎていない」という見解を出しています。時期予測については、どうしてもプラスマイナス五年程度の誤差を見込まざるを得ないのが現状です。

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