安倍政権の強い意志感じたアフリカ開発会議

執筆者:平野克己2013年6月4日

 6月1日から3日まで、横浜で第5回アフリカ開発会議(TICAD5)が開催された。TICADは5年毎に開かれるので、今回でちょうど20年目になる。20年前の日本は世界第2位の経済大国で、世界最大の援助国だった。1993年の第1回TICADは、低迷を続けていたアフリカ開発に日本が本格的に乗り出すという宣言であった。

 しかし時代は変わった。日本経済は成長力を失って中国の後塵を拝し、日本の援助額はいまや世界第5位である。資源価格が高騰し、東日本大震災と福島原発事故の発生で日本の貿易収支は赤字に転落している。一方、アフリカ経済のほうは絶好調だ。こういった変化を受けてTICADも、前回の会議で大きく方針を転換した。

 2008年のTICAD 4で新たに打ち出されたのが「官民連携」だった。アフリカに資源をとりにいったり、アフリカ市場に進出する日本企業を主役にすえ、これを政府が後押しする、あるいは官民が協力してアフリカ開発を進めるという方向に舵をきりかえた。TICAD4には、経団連を軸に民間企業が初めて参画した。

 その背景には中国のアフリカ攻勢があった。中国は2000年からアフリカに対する全面攻勢をかけ、いまや輸出においても輸入においても圧倒的首位である。中国の高度成長はアフリカから輸入する原油や資源に大いに依存しているのだ。中国の対アフリカ融資額は世界銀行のそれを超えており、アフリカ中で道路を作り、発電所を建て、医療や教育支援も行なっている。一方の日本は、かろうじて自動車がシェア首位をキープしているくらいだ。

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