中国「地方幹部」大異動の正しい読みかた

執筆者:藤田洋毅2005年2月号

 中国で地方指導者の交代が相次いでいる。規定の引退年齢に達したケースより、適材適所を謳った昇格や配置転換が目立つ。昨秋、党中央軍事委員会主席に就任して名実ともにトップになった胡錦濤総書記が、「中南海を固め、いよいよ全国的な足場の強化を加速している」との見方を複数の幹部が示す。 各省・自治区のナンバー1である党委員会書記、ナンバー2の省長(各地の人民代表大会で正式に選出されるまでは代行)の主な異動は以下の通りだ。十二月は大がかりな玉突き人事になっている。[十月・十一月]陝西省=賈治邦省長→国務院民生省次官/陳徳銘副省長→省長代行吉林省=洪虎省長に代わり王ミン江蘇省蘇州市書記が省長代行に[十二月]宋秀岩青海省副書記→同省長代行/楊伝堂青海省省長→チベット自治区書記/郭金龍チベット自治区書記→安徽省書記/王太華安徽省書記→国務院ラジオ映画テレビ総局長/徐光春国務院ラジオ映画テレビ総局長→河南省書記/李克強河南省書記→遼寧省書記福建省=宋徳福書記→新職務へ転出(行き先未公表)/盧展工省長→書記/黄小晶副省長→省長代行劉鵬四川省副書記→国家体育総局長 人民日報や新華社などの報道は、さらなる若返りや高学歴化を強調、とくにこれまで主流だった理工科系出身者の比率が低下し、経済を主とする文科系出身者が地方トップ層の六割を占めたと伝えている。工場管理の専門家が出世した発展途上国段階を過ぎ、社会管理の専門家が国を治め始めた、と評した。

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