いよいよ深刻化する財界「老害」問題

執筆者:杜耕次2013年6月13日
 鼎の軽重が問われる米倉会長(C)時事
鼎の軽重が問われる米倉会長(C)時事

 経団連の定時総会が6月4日、東京・大手町の経団連会館で開かれた。来賓として出席した安倍晋三首相(58)は数年来の景気低迷について「最も萎縮してしまったのは経営者の投資マインドかもしれない」と指摘する一方、「(成長戦略の)主役は民間企業だ。生産性向上のためには大胆な投資と、工場や企業の思い切った新陳代謝や再編が必要だ」とゲキを飛ばした。壇上に顔をそろえた会長の米倉弘昌(76)以下副会長ら幹部の面々が拍手で首相に応えたが、昨今の株価乱高下がアベノミクスに冷や水を浴びせかけたこともあり、会場の盛り上がりはいま一つ。何より「新陳代謝や再編が必要」というくだりに老人ぞろいの財界のお歴々は冷ややかだった。

 

「財界総理」の重み

 財界の「機能不全」や「老害化」が指摘されて久しい。終戦直後の1946年に日本経済の再建・復興を目指して経済団体連合会(経団連)が発足。財閥解体と並行する形で、重厚長大産業の有力企業のサラリーマン経営者が「財界」の主流を形成した。48年には労務問題に取り組む日本経営者団体連盟(日経連)が誕生。片や「自由主義経済を守る経団連」、もう一方は「労組と闘う日経連」といったスローガンが定着した。それは、財界に社会主義や労働運動という明確な「敵」が存在していたがゆえとも言える。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。