第二期“日米首脳同盟”の重要な脇役たち

執筆者:伊奈久喜2005年3月号

“大物”ベーカーや“親日”アーミテージが去った第二期ブッシュ政権の対日チームを率いるのは誰か―― ブッシュ米大統領は一月二十日の就任式の翌日、友人でビジネス界出身のトーマス・シーファー駐オーストラリア大使(五七)を駐日大使に任命すると発表した。発表時機が日本重視を示すと解説されたが、この人事が日本側に伝達されたのは実は二カ月前だった。二〇〇四年十一月二十日のサンティアゴでの日米首脳会談で大統領が小泉純一郎首相に直接伝えていた。米側が公表しないよう日本側に要請し伏せられた。 シーファーの起用は日米関係の現状を象徴する。朝日新聞コラムニストの船橋洋一が「事務方同盟」と呼んだクリントン政権下の日米関係は、小泉、ブッシュ両首脳による「首脳同盟」に変わった。事務方同盟は「大物大使」を必要とするが、首脳同盟は必ずしもそうではない。 マンスフィールド、アマコスト、モンデール、フォーリー、ベーカーと続いた駐日大使の顔ぶれを見ると、アマコストを除けば、いずれも議会人である。マンスフィールドは民主党の上院院内総務、モンデールは副大統領、上院議員、フォーリーは下院議長経験者である。彼らに期待されたのは議会を説得する力だった。日本側の要請もあったが、議会の対日批判の空気ゆえ国務省も大物大使を必要とした。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。