イランやシリアによる“軍拡”の裏に、ロシアの姿が見え隠れしている。 カイロの中東軍事筋がイラン原子力産業関係者から入手した情報では、今年の一月第二週にロシアの専門家グループがイラン南部のブシェール原発周辺に、移動式の先進レーダーシステム、36D6(西側の呼称は「ティン・シールド」)二基を設置した。これは空爆や巡航ミサイル攻撃などに対抗するための装備。イラン中部イスファハンにあるウラン濃縮工場にもロシア専門家が訪れており、同様のレーダーシステムが設置されるとみられる。 中東軍事筋は「ティン・シールドは航空目標の発見や敵味方識別に強い統合コンピューター化システムで、イスラエルや米国の攻撃からイランの主要核施設を守るのが目的」と指摘する。 イランは昨年十二月に、核施設防衛用の諜報組織「Oghab2」も新設している。Oghabはペルシャ語で「懲罰」を意味する。 昨年十月、イラン当局は核施設の最新情報の入手を狙って米国が送り込んできたというスパイ六名を逮捕。これをきっかけとして、核施設と核計画を守るための新組織の設立を決めた。Oghab2要員としては、イラン諜報関係者十万人の中から、優秀で、特にロシアや中国、北朝鮮などでの勤務経験を持つ約五千人が選ばれた模様だ。

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