中国「城管」の暴力と官尊民卑思想

執筆者:野嶋剛2013年6月14日

「城管」の市民への暴力事件について、中国のニュースで騒がれることが多い。いま、中国社会で一番の嫌われ者は、おそらく城管ではないだろうか。

 城管は日本人には耳慣れない言葉だが、中国人は子供でも知っている。大通りの歩道で海賊版のDVDや衣類を売っている露天商の人たちが、突然「城管来了!」と叫んだかと思うと、あっという間に撤収していく姿は、中国の風物詩のようになっている。

 先日、中国陝西省の延安市で、市の城管が市民を殴る蹴るの様子が通行人のスマホで撮影され、中国版ツイッター「微博」で散布されて大騒ぎになった。その後、延安市は骨折などの大けがを負った市民に謝罪し、治療費と賠償金を払うことを表明した。

 城管の暴力行為に対して、最近生まれた流行語が「与群衆打成一片」という言葉だ。本来は共産党の政治的スローガンで、「共産党幹部や政府の官僚は一般の人民(群衆)と距離をなくし、一体となって親しくなろう」という意味である。ところが、城管問題では「(城管は)よってたかって人民をぼこぼこに殴る」というような意味に変えて解釈し、城管の暴力問題を揶揄するようになった。中国人の言語センスにはいつも脱帽する。

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