政府が自衛隊派遣の検討を始めたスーダンでの国連平和維持活動(PKO)に対し、防衛庁から「派遣は困難」との声が出ている。昨年暮れに改定された「防衛計画の大綱」は自衛隊の海外派遣を本来任務に位置づけたが、現実は厳しいようだ。 内戦が続いた北東アフリカのスーダンでは、一月、バシル政権と反政府勢力が包括的和平に合意し、国連が一万人規模のPKO開始の検討を始めた。これに飛びついたのが日本の外務省。PKOに派遣する人数が多いことを国連安保理の常任理事国入りの条件とする意見もあるからだ。現在、日本は中東のゴラン高原PKOに司令部要員を含め四十五人を派遣しているが、これは加盟国のうち六十六番目にすぎない。 だが、陸自幹部によれば、「PKO以外に陸上自衛隊はイラクに六百人、地震津波の被害があったインドネシアに二百三十人を派遣していて、これを動かすのが陸上幕僚監部の運用課。特にイラクは襲撃に備える命懸けの派遣で、運用課も二十四時間態勢で対応している。これ以上、新たな海外派遣を請け負う余裕はありません」。空輸の要となる航空自衛隊のC130輸送機にも余裕はない。 しかも、スーダンPKOで求められるのは、反政府勢力の武装解除や中立地帯の巡回監視といった平和維持軍(PKF)任務。二〇〇一年のPKO協力法改正で自衛隊もPKF参加が可能になったとはいえ、武力行使の可能性が高い任務だけに防衛庁には「憲法改正が実現するまで無理」との意見が支配的だ。

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