米ボーイングを追い抜き、一昨年に航空機の受注数と引渡し数の両方で世界トップに躍り出た欧州エアバス。同社が総力をあげて開発してきた総二階建て超大型機「A380」が今春、いよいよ飛行試験にのぞむ。来年半ばにはシンガポール航空が初めて同機を欧州や豪州との間の長距離線に就航させ、仏エールフランス航空なども続く。 A380は通常のエコノミー、ビジネス、ファーストの三クラスタイプで五百五十五席、最大で八百五十席超まで設置可能。大量輸送に加えて新素材の多用による軽量化で燃費を向上させ、一座席あたりの運航コストはボーイングのジャンボ機「747」を約一五%下回る。 エアバスは既に百五十四機のA380の受注を確実にした。受注残はボーイング747を二〇〇一年以来、上回る。「役者は既に交代した」とエアバス幹部は胸を張るが、同社が唯一頭を悩ませる市場がある。米国に次ぐ世界二位の日本市場だ。 フォルジャール社長兼CEO(最高経営責任者)はもちろん、エアバスを傘下に置く欧州航空防衛産業最大手EADSのカミユ共同CEOも訪日し、トップセールスを繰り広げたがA380の受注実績はゼロ。今年一月十八日、シラク仏大統領らを招いてエアバス本社がある南仏トゥールーズで開いたA380一号機のお披露目式に日本航空や全日空の社長の姿はなかった。

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