スイスに本拠を置く人材派遣会社世界最大手アデコが、一月末、フランスの人材コンサルタント大手アルテディアを買収すると発表した。アルテディア株式の五〇・五%を創業者から買い取り、残りの株式についても公開買い付けを行なって完全子会社化する。アルテディアはフランスのほかベルギー、スペイン、ポルトガル、米国、日本などに拠点を持ち、人材教育や広報コンサルティングなどを手がけてきた。今回の買収を機に、M&A(合併・買収)による急拡大という“アデコ神話”が再現されるのか、注目が集まっている。 アデコが世界中で一日七十万人の人材を派遣する世界トップの座に駆け上がったのはごくごく最近だ。一九九六年にスイスの人材派遣大手旧アディアとフランスの大手旧エコーが合併して誕生。その後、英国の情報技術系人材大手デルフィや米国の人材派遣大手オルステン、日本のキャリアスタッフなどを傘下に収める積極的なM&Aで急成長した。二〇〇三年には株価が三十スイスフラン台から八十スイスフラン台へと急伸。欧州の成長株の代表となった。 ところが一年前、「会計不信」に直撃される。二〇〇三年の決算発表を監査上の理由で延期したのをきっかけに株価が急落。直前に八十一スイスフランだった株価は一時四十六スイスフランまで売り込まれた。結局、半年余りの調査を経て「不正はなかった」という結論になったものの、株価は六十スイスフランをはさんで一進一退する「横ばい」に推移している。急成長株の面影はすっかりうせてしまったのだ。

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