いかに北朝鮮に振り回されようとも、中国は「話し合いによる平和解決」を唱え続ける。その内実は――。[北京発]毎年三月、北京は政治の季節になる。年に一度の全国人民代表大会(全人代)と全国人民政治協商会議(政協)が開かれるためだが、そこで審議される各種報告や法案に、台湾の独立阻止を目的にした反国家分裂法が加わった今年は、例年以上に国際的な注目を集めた。武力行使権を規定した同法は、台湾海峡の緊張を高めるとみられていたからだ。 全人代開幕の約二週間前、ワシントンで開かれた日米安全保障協議委員会(2+2)が台湾問題の平和解決を「共通戦略目標」の一つにしたのも、中国の国防力増強が続くなかで、反国家分裂法が浮上したことへの警戒心を表したものだった。「いかなる形であれ日米の戦略目標に台湾を含めることは中国の主権侵害であり、内政干渉だ」 李肇星外相は三月六日の記者会見で日米を牽制したが、余裕が感じられた。中国は当面、「統一」を急がず、「独立阻止」とは現状維持を意味しており、その点では日米とも一致しているのだ。昨年十二月の台湾立法委員選で、反独立の野党連合が過半数を占めたのに続き、今年二月には陳水扁総統と親中派の宋楚瑜親民党主席が現状維持の政策協定を結んだことも、中国側の余裕を生んだ。

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