すったもんだの末に再建が始まる。だがその施策は、スーパー業界が直面する厳しい環境変化の前にあまりにも凡庸だ。「今度こそ」――。二月二十八日朝、商売や縁結びの神様として知られる神田明神(東京都千代田区)に深々と頭を下げる丸紅関係者の姿があった。この日は産業再生機構がダイエー支援企業を選ぶ最終入札日。丸紅は応札を目前に控え神に縋った。 丸紅にとって、社運を賭けた流通事業への出資案件は三度目になる。まず一九九九年末から二〇〇〇年初めにかけてダイエーが保有するローソン株を放出した際、丸紅はこの取得を三菱商事と争って敗れた。二度目は昨年秋。自主再建路線に固執するダイエーが入札方式で支援企業を募った時も丸紅は最有力候補の一つだったが、これはUFJ銀行などメーンバンク三行が自主再建を認めず「再生機構送り」が決まってお流れになった。今回ダイエーの支援先に選ばれたことで、丸紅はようやく、満身創痍とはいえ日本三位の巨大流通企業を手に入れたわけだ。「日本経済を人質にとっている」と評され、過剰債務企業の象徴ともなったダイエー。その再建をめぐる迷走劇を、本誌はこれまで追い続けてきた。ダイエーは本当に優良企業に生まれ変わるのだろうか。

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