「米露ガス戦争」の主戦場となる日本

執筆者:新田賢吾2013年7月11日
 5月には茂木敏充経済産業相も米・ペンシルバニア州のシェールガス掘削・生産現場を視察した (C)時事
5月には茂木敏充経済産業相も米・ペンシルバニア州のシェールガス掘削・生産現場を視察した (C)時事

 米国で始まった「シェール革命」は米国のエネルギー構造を抜本的に塗り替え、国内のエネルギー、石油化学、鉄鋼などの産業競争力を劇的に回復させた。米国ではシェールガスにタイトサンドガス、コールベッドメタン(CBM)などを加えた「非在来型」ガスが、天然ガスの全生産量の40%にも迫る勢いだ。シェールガスと同じシェール層(頁岩層)に含まれる石油であるシェールオイルの生産も、急激に増加しつつある。経済的な側面がまず注目されるシェール革命だが、中東産油国、ロシアの影響力の相対的低下など、国際情勢にも波紋を広げている。とりわけ天然ガスの輸出を最大の国家収入源とするロシアは、

「米国のシェール戦略で息の根を止められかねない」

 という危機感を持ち始めた。

 

ロシアのリードで

 7月初め、モスクワのクレムリンで開催された『ガス輸出国フォーラム(GECF)首脳会議』は、在来型天然ガスの輸出国の連合として、シェールガスの台頭への危機感を共有した会合となった。だが、肝腎の天然ガス貿易の構造変化への対応をめぐっては、対立が露呈した。

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