インドが本気で外資を呼び込みたいのなら

執筆者:緒方麻也2013年7月19日

 インド政府は7月16日、電気通信や保険、石油精製、送配電、そして紅茶プランテーションなど12分野について、インド向け海外直接投資(FDI)における外資上限の引き上げや、FIPB(外国投資促進委員会)の許認可なしで投資できる「自動承認ルート」の適用範囲を拡大する規制緩和措置を決定した。外資導入を加速させて雇用拡大や経済発展につなげる狙いで、昨年秋に続く緩和措置の第2弾となる。目玉は、これまで49%までとされていた携帯電話サービスの外資上限をFIPBの許可を条件に100%まで認めたこと。そして、保険法の改正を前提に保険分野における外資上限を当初発表から約8年を経て26%から49%に引き上げたことだ。

 これにより、過当競争による利益率低下で総額2兆5000億ルピー(約4.2兆円)とも言われる負債を抱える携帯電話業界が外資の資本参加で息を吹き返し、保険でも合弁事業における外資の自由度が高まり、新たな投資案件の呼び水になると期待されている。5月末の「バーナンキ・ショック」でインドから逃げ出した投資資金を幾分なりとも呼び戻せる――と、財界も一様にこの決定を歓迎。歴史的安値に落ち込んでいた通貨ルピーが反騰、ムンバイ証券取引所(BSE)の平均株価(SENSEX30)も18日に2万の大台を回復した。

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