ライブドアとフジサンケイグループの法廷闘争。ニッポン放送の新株予約権発行は「不公正」と差し止められ、緒戦はライブドアが勝利した。今後も続く法廷闘争でも、ライブドア有利とみられている。事態がこのまま推移すれば、ライブドアによるニッポン放送株の過半数獲得、役員派遣は避けられそうもない。 フジサンケイグループとしては、本丸であるフジテレビや産経新聞社にライブドアが迫るのは防ぎたい。「ライブドアそのものに買収をかけるパックマン・ディフェンスはどうですか」「買収される前に、ポニーキャニオン、フジテレビ、横浜ベイスターズ株を売るクラウン・ジュエル作戦もあります」「A社をホワイトナイト(救い手)としてネット事業で(ニッポン放送と)提携させ、機先を制しましょう」 ニッポン放送、産経新聞などフジサンケイグループ企業の幹部のもとに、M&A(企業の合併・買収)を専門とする欧米の投資銀行マンが日参している。 新株発行などによってライブドアの持ち株比率を薄めるのが困難になったいま、買収を諦めさせるために、逆買収を仕掛けたり、優良資産を切り売ってニッポン放送の魅力を低減させたり、ライブドアが経営に入ってくる前に提携先を見つけたりする展開になるかもしれない。すでに、フジテレビの日枝久会長がライブドアとの提携交渉について態度を軟化させつつも、一方でニッポン放送の亀渕昭信社長が同社保有のポニーキャニオン株のフジテレビへの売却を検討していることを明らかにするなど、ライブドアに対する揺さぶりをかけ始めた。ライブドアとの提携交渉のテーブルに着きながら、フジサンケイグループが防衛策を次々に繰り出す展開になれば、弁護士に代わって重要な役割を果たすのが投資銀行である。

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