潜水艦をロシアから購入したり、国産の新型艦艇を建造したりするなど、海軍力の増強に努めている中国が最近、アジア各国への艦艇の“売却”を拡大している。 パキスタンとは四月四日、フリゲート艦(F22型)四隻を売却する契約を結んだ。同艦にはヘリコプター、艦対地ミサイル、艦対空ミサイルが搭載されるうえ、パキスタン国内で建造されるという。事実上、中国からの技術移転であり、パキスタンの軍事力増強につながるとみられている。 また、カンボジアに対してもこのほど、哨戒艇四隻を売却することを決めた。カンボジア領海内での海賊・麻薬の密売取り締まり強化のためというのが売却の理由だ。しかも、中国はカンボジアに対して約六千万ドルの無利子融資を行ない、カンボジアはそれを購入費に充てるという筋書きだ。 中国はこれまで、タイなど一部の相手先を除けば、戦車や航空機、ミサイルなどの武器を主に輸出してきた。それを艦艇にまで拡げ、アジア各国との軍事的な結びつきを深めることで、域内での影響力の拡大を狙っているとみられている。 こうした動きは、EU(欧州連合)が狙う対中武器輸出再開への懸念を一層高める。EU製の高度な兵器や技術が、将来第三国に転売され、アジアの安定を損ねる恐れが強いからだ。

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