サウジアラビアがEU(欧州連合)との間で、全地球航行衛星システム計画(通称ガリレオ計画)への正式参加について交渉を開始したことが明らかになった。中東外交筋によれば、サウジ政府とEUの代表団の秘密協議が三月半ばにサウジの紅海に面する都市ジッダで開かれ、その場でガリレオ計画への参加希望が正式に伝えられたという。 このガリレオ計画は、米国の全地球測位システム(GPS)の欧州版で、EUと欧州宇宙機関(ESA)が合同プロジェクトとして開発を進めており、二〇〇八年の稼動を目指す。 ガリレオ計画へのサウジの参加について、軍事専門家が注目している点がある。それは、サウジの兵器体系が、これまでほぼ全面的に依存してきた米国製(GPS対応型)から、ガリレオ対応の欧州製に切り替わる可能性が強まることだ。スマート兵器と呼ばれる精密誘導兵器はもちろん、軍用車両から戦闘機に至るまで、欧州製がサウジの選択肢に入ってくる。 サウジは従来、親米路線を取ってきたが、イラク戦争への参戦を拒否したほか、国内基地を米軍が使用するのを認めなくなるなど米国との関係がギクシャクしている。欧州のガリレオ計画への参加をきっかけに、兵器についても欧州シフトが起きるなら、「サウジの米国離れ」は加速するとの予想さえ出ている。

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