二年に一度、東京で開かれる「日本国際工作機械見本市(JIMTOF)」は、米シカゴ、独ハノーバーで開かれる見本市とともに世界三大工作機械見本市に数えられている。二〇〇四年一一月に開かれたJIMTOFには、二二カ国・地域から八三二の出展者があり、八日間の会期中には一二万人もの来場者があった。 JIMTOFは他の見本市とまったく様相が違う。若い人が多いIT(情報技術)系の見本市と違い、JIMTOFにはまさに老若男女、多様な人たちが訪れている。社長に導かれるように見て回る一団が、東京への社員旅行を兼ねているのだろうと思われたのは、関西訛りと「明日は浅草だ」と話しているのを聞いたからだ。夫婦連れもいる。展示担当者の説明に夫人が深くうなずいているのは、きっと夫人も工場に立ち機械に触れているからに違いない。 展示会場を回る人たちの目は、真剣そのものだ。皆、指先に小さな切り傷の跡がたくさんあり、それがちょっと黒ずんでいるので工場で働いている人たちだと分かる。小さな会社や自営の人たちが機械産業の土台にあり、日本のものづくりの裾野が広いことを、つくづくと感じるのである。 経済産業省の『工業統計調査』(二〇〇三年)で試算すると、工作機械だけでなく建設機械や電気機械などを含めた広義の機械産業では、従業員数が一―二九人の事業所が製造出荷額に占める割合は六・八%にすぎない。しかし事業所数では八六・五%、従業員数では二一・五%を占めている。

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