ロンドンの観光名所「マダム・タッソーの蝋人形館」が中東資本の手に移る。ドバイ首長国の傘下にある投資会社「ドバイ・インターナショナル・キャピタル(DIC)」が、三月下旬に総額八億ポンド(約千六百億円)を投じて、英タッソー・グループの親会社チャーターハウス・キャピタル・パートナーズから買い取ることで合意した。 タッソー・グループはロンドン、ニューヨーク、香港など計五都市で蝋人形館を持つほか、英でテーマパーク「オルトン・タワーズ」を運営する。ロンドンの大観覧車「ロンドン・アイ」にも出資する一大レジャー会社である。経営する施設の入場者は年間千五百万人。DICのアンサーリ社長は「レジャー産業を拡大するという我々の投資戦略に合致していた」と語る。 DICは昨年十月、「ドバイのCEO(最高経営責任者)」との異名を取るムハンマド皇太子が運営するドバイ・ホールディングの投資会社として設立された。一月には一千億円を投じて独ダイムラークライスラーの株式の二%を取得し、第三位の大株主になっている。三月には米国南部で二万一千戸の賃貸用住宅を総額一千億円で買収するなど、米欧への投資が目立ってきている。 中東の金融センターとして地位を確立したドバイには域内のマネーが流れてくる。特に、昨年からの原油高により、ペルシャ湾岸各国は原油収入が急増し、各国が投資先を探している。エジプトやクウェートの株式市場は過去最高値を更新、ドバイなどでは建設ラッシュが続き、バブルの様相を呈している。

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