「ネット配信」急拡大でテレビは凋落する

執筆者:鍔本京吾2005年6月号

映像メディアに大激変をもたらすのはブロードバンドの衝撃だ。テレビ局には危機感が募るが……。 ヨン様、ビョン様で人気の続く韓流。NHKは「冬のソナタ」「美しき日々」など韓国コンテンツを地上波、BSで繰り返し流し、視聴者の気を惹こうと必死だが、韓国ドラマの人気をもう一方で支えているのは実は動画のインターネット配信だ。 ソニー系のブロードバンド(高速大容量)配信会社、エー・アイ・アイ(AII)はペ・ヨンジュンのデビュー作からチェ・ジウの最新作までネットでドラマを販売し、売上げを急速に伸ばしている。毎秒五百キロビット程度のブロードバンド環境さえ整っていれば、「ストリーミング」と呼ばれる技術によってパソコン上で動画を楽しむことが可能。ドラマ一話あたり二百十円(消費税込み)で視聴ライセンスを購入すれば、一週間以内なら、何度でも観られる仕組みだ。 韓流がコンテンツの柱になるのには理由がある。韓国はブロードバンド環境の普及で先進国の中でも圧倒的に先行した。こうしたこともあり、ドラマを制作したテレビ局が自ら番組をネット配信することに積極的だからだ。 NTT系のぷららネットワークスが提供しているビデオ・オン・デマンド(VOD)サービス「4th MEDIAビデオサービス」。NTTのADSL(非対称デジタル加入者線)や光ファイバーでブロードバンドを利用している顧客向けで、専用チューナーが必要だがテレビでネット配信の動画を楽しめる。その名の通り地上波、衛星放送、ケーブルテレビに続く「第四」の放送メディアを目指している。ハリウッド映画千五百本や邦画のほかスポーツ番組のコンテンツも強化しており、五月からJリーグの試合中継も始めた。

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