カタールでアル・カエダとの秘密取引が最近明らかになり、同国の中枢部に動揺が広がっているという。 イラク戦争の開始前、カタール政府首脳の一部が、アル・カエダとの間で、月間五十万英ポンドの資金援助をする代わり、カタールをテロ攻撃の対象から外すとの密約を結んだ。自国内に米中央軍司令部の前進基地が置かれていることなどからイスラム過激派の攻撃対象になりやすいと考えたためだ。この取引はその後、期限切れを迎えたが、三月にカタール在住エジプト人によるテロ事件が発生したことで、また復活しているという。 イスラム過激派への対応をめぐっては、カタール首長家は真っ二つに割れているようだ。過激派を刺激しないようにすべきだと主張しているのが、アブドラ・ビン・ハリーファ・アル・サーニ前内相とジャシム・ビン・ハマド・アル・サーニ前皇太子を頂点とする一派。反対に過激派には毅然とした姿勢で臨むべしとの立場なのが、タミーム皇太子やハマド・ビン・ジャシム・アル・サーニ外相を中心とする勢力だ。 これまではカタール国内の宗教勢力の後押しもあって、過激派対策では前者が優勢だった。だが、アル・カエダとの密約の発覚は、今後の展開次第では首長家を揺るがすスキャンダルに発展する可能性がある。

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