米国の医療機関はレントゲンやCTスキャン、MRIの画像を診断目的でインドなど外国に送信している。が、近くこれが禁止されるかもしれない。 画像を海外に送る場合、患者の同意を得ることを義務づける法案を連邦議会両院に提出したのは、ヒラリー・クリントン上院議員とエドワード・マーキー下院議員(ともに民主党)。カリフォルニア州議会でも同様の法案が議題に上っている。 米国の病院では画像診断への需要が膨らんでいる。診断の海外へのアウトソーシングは、コスト面でも、時差を利用した時間の有効利用面でも効率的かつ合理的だとして、拡大してきた。米国から画像を受け取って医師や技師の判断を提供する診断アウトソーシング企業は現在、インドやオーストラリア、スイス、ブラジル、イスラエルなどにある。 こうしたサービスに、最近になって米国内で疑問が生じてきた。前出の法案提出はその現われで、背景にあるのは、健康という個人情報の保護問題に加え、海外の医師や技師の技量への疑問だ。 もっとも、米国内六百もの病院の画像診断を請け負っている企業の顧問弁護士は次のように語っている。「初期診断を一晩で可能にしてくれる海外アウトソーシングを否定する今回の法案は、アメリカ人にとって失うものが大きい」。

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