外資に開放されて熱を帯びるインド不動産市場

執筆者:ラムタヌ・マイトゥラ2005年6月号

 遅れている不動産部門での海外からの投資を誘致するため、インド政府は都市部での不動産開発を外国資本に開放することを決めた。 二〇〇五年度予算を発表したチダムバラム財務相が明らかにした新方針によると、市街地、住宅地、インフラ整備、建設開発すべての分野で一〇〇%外国資本の企業でも事業を行なうことができるようになる。これまではインド政府の承認が必要だった。同時に、外国資本による不動産開発の最低規模が百エーカー(約十二万坪)から二十五エーカー(約三万坪)に引き下げられた。すなわち、地方での大規模土地開発だけでなく、都市部における不動産開発にも参加できるようになるということだ。 公的資金を得る三つの研究機関が合同で出したインド・インフラ報告(IIR)によると、インド全体で八千万戸の住宅が不足しており、不動産部門全体では年間二千億ドルの投資が必要とされている。ところが、二〇〇五年度の不動産部門への投資見積もりは五百二十億ドル(大半がインド政府による公共投資)に過ぎない。 巨額の投資が必要な理由は、インドのインフラが未整備で、二〇五〇年には中国をも追い越すであろうといわれる人口増加に対応できないからだ。

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