情報漏洩に頭を抱えるオバマ米大統領 (C)AFP=時事
情報漏洩に頭を抱えるオバマ米大統領 (C)AFP=時事

「内なる脅威(Insider Threat)」――。赤狩りのマッカーシズムが吹き荒れていた冷戦真っ盛りの1950年代、米政府内に潜入したとされる共産主義者のことを、反共派はそんな言葉で表現していた。

 今また、オバマ政権が同じ言葉をタイトルに掲げて「国家内部脅威政策(National Insider Threat Policy)」と呼ぶ新政策を推進していることが分かった。今度は、赤狩りではなくて、国家安全保障に関する情報漏洩を摘発するプロジェクト。敵は共産主義者ではなくて、情報を漏らす政府職員である。

 デジタル情報の時代に突入した今世紀は、サイバー戦争の時代であり、サイバースパイの時代でもある。オバマ米政権はサイバー空間を陸・海・空・宇宙に次ぐ第5の戦域と規定し、サイバー司令部を設置、1000人以上から成るサイバー戦士の部隊も編成した。

 しかし、政府の機密情報を漏洩する敵は内部にいた。オバマ政権は情報漏洩事件を積極的に摘発、メディアに情報を漏らした6件に対して「スパイ防止法」を適用し、内部からの脅威抑止に躍起となってきた。

 だが、情報漏洩を防ぐために「国家内部脅威政策」を推進してきたにもかかわらず、スノーデン事件はなぜ起きたのか。

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