いまや信託銀行は「カネのなる樹」。他グループに遅れをとった三井住友FGが逆転するには、“犬猿の仲”住友信託との連携がカギとなる。 公的資金早期返済宣言で馬群を抜け出したみずほフィナンシャルグループ(FG)、十月の経営統合をバネに数馬身差で追走しようという三菱UFJFG、赤字決算と金融界に権勢を誇った西川善文社長の退任で半周遅れの三井住友FG――。不良債権半減目標を二〇〇五年三月期にどうにか達成したメガバンク三グループの覇権争いは、競馬に例えればこうなるだろうか。 ただし、レースはまだ第二コーナーを回ったばかり。今後は金融コングロマリット(複合企業体)戦略を通じたグループ収益力強化がカギになる。特に、いかにして信託業務を銀行・証券業務と連動させるかが大きな焦点となりそうだ。 メガバンクのコングロマリット戦略で信託銀行が脚光を浴びるのは、まず第一に、旧都銀のようにコストの割には儲からないマス(大衆)・リテールではなく、平均五千万円以上の金融資産を持つ富裕層を中心に質の良い顧客を抱えているからだ。企業の資金調達の多様化によって預貸業務による利ざや拡大が期待できなくなったメガバンクは、手数料が稼げる投資信託や変額年金など、投資商品の販売へと営業戦略をシフトしている。この戦略に資産運用ニーズの高い信託銀の顧客はうってつけ。信託銀が持つ不動産業務や遺言信託などのノウハウとコンサルティングをうまく組み合わせれば、顧客の生涯の資産運用を一任勘定で取り付けることも期待できる。

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