最近、マカオに行かれたことがあるだろうか。香港国際空港からジェットフェリーで埠頭に到着、入国審査を終えターミナルを出ると、数年前までの「荒廃した賭博の街」の情景は消え、ラスベガスに来たかと錯覚を覚える豪奢な「サンズ(金沙)」カジノが目前に聳え、ディズニーランドかと見まがう大型テーマパークの建設工事にまず驚かされる。 すっかり小奇麗になったタクシーで街を一周すると、ラスベガスの有名カジノのロゴマークを表示した大規模な建設工事が随所で始まり、新国際空港やコンベンションセンターなどのインフラも完成。塔の展望台にスリル・ライドを取り付けた、これまたラスベガスを髣髴とさせる「マカオ・タワー」までが営業を開始しており、ポルトガルは北京ではなくラスベガスにマカオの統治権を返還したのではないかと思うほど異様な賑わいを見せている。 このラスベガス・カジノの“増殖現象”は、マカオだけでなく、町の美化を優先してガムの販売にまで規制を課し、厳しい社会管理で治安と経済成長を維持してきたシンガポール政府までが進出容認を決めたことから、今後、東アジア全域に一挙に拡がる可能性が高まっている。 日本でも、カジノ法案の国会提出は時間の問題。横浜、大阪、宮崎、沖縄など複数の自治体がカジノ誘致に名乗りを上げ、先ごろ更迭された東京都の浜渦副知事もラスベガスにしばしば隠密出張し、現地大手企業の間では「お台場カジノ」の顔役として通っていた。

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