「東南アジア・カジノ地図」はどう変わるのか

執筆者:竹田いさみ2005年8月号

マカオ、シンガポールにタイも追随へ。“カジノ拡散”の影響は東南アジアのあらゆる国に及ぼうとしている。 頑なにカジノを拒否してきたシンガポールが、今年四月、一転してカジノ大国への道を歩むことを宣言して以来、東南アジアではカジノ談義が活発化した。カジノの是非ではなく、どんな魅力的なカジノをどこに建設するかが議論の的となっている。昨年、マカオに米国資本が巨大カジノを建設し、一夜にして東洋のラスベガスへと変貌させたことが、シンガポールに危機感を抱かせるきっかけとなった。今年九月には香港ディズニーランドが開業し、観光客の流れが大きく変化すると予想されている。マカオと香港がいずれも米国の巨大娯楽産業とタイアップするなかで、東南アジア各国はカジノリゾート構想に起死回生を賭ける。 東京は「コスモポリタンな都市」になり損ねたつまらない都市――要約すればこんな言い方で、シンガポールのリー・クアンユー顧問相(元首相)は、東京の二の舞を演じては駄目だと国民に警鐘を鳴らす。息子のリー・シェンロン首相が四月十八日、議会演説でカジノを柱とした複合リゾート構想を発表。その翌日、カジノ構想を支持するための議会スピーチで顧問相が述べたのがこの言葉だ。国際金融センターや国際文化センターになれなかった日本は「反面教師」だというわけだ。

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