ロンドン連続テロは「警告」に過ぎない

執筆者:竹田いさみ2005年8月号

 ロンドンのテロは、アルカイダ系組織の関与の可能性が高い。アルカイダ系テロの共通点は、連続性、公共性、シンボル性の三点だ。ロンドン中心部の四カ所を同時に標的にし、公共交通機関を狙い、さらに英国のシンボルである地下鉄と二階建てバスに時限爆弾を仕掛けた。米国での大型テロ事件は、午前の仕事始めか昼休み明けの時間帯が目立つ。今回は午前の仕事始めの時間帯であった。 アルカイダ系組織が本格的にテロ作戦を行なう際には、大型の高性能爆薬を使用する。ケニアの米国大使館爆破やバリ島事件がそうだった。9.11では航空機がビルに突っ込んだ。しかし今回のテロは、はるかに爆発の規模が小さい。大型爆弾なら地下鉄のトンネルまで崩落し、バスは粉々になって現場に大きなクレーターができたはずだ。 テロ集団は、意図的に中型の爆弾テロを計画したのだ。ブレア政権がイラク戦争で対米支援を維持し強化するのをやめさせるための「警告テロ」であろう。今後も英国で大型テロ事件が発生する危険性を覚悟しなければならない。ロンドンはイスラム過激派の拠点都市であり、テロリスト予備軍には事欠かない。

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