ソフトバンクの悲願である携帯電話事業参入に黄信号が点灯し始めた。総務省は六月に新規参入企業への一・七ギガヘルツ帯の周波数割り当ての方針を示し、ソフトバンクもイー・アクセスとともに有力候補とされている。しかし、最近になって「相次ぐ買収で急速に悪化している財務が障害になりつつある」(総務省幹部)という。 ソフトバンクの二〇〇五年三月末の純有利子負債は一年前の四倍にあたる五千三百十六億円に急増、株主資本比率も一六・八%から一〇・四%にまで低下した。総務省が神経を尖らすのは「財務を立て直そうと、業績を上げるための強引な販売戦略をとれば、消費者に被害が及ぶ」懸念があるからだ。 事実、ソフトバンク傘下の日本テレコムの「おとくライン」では、強引な営業手法に対する消費者のクレームが総務省やNTTなどに寄せられた。総務省の指導を受けて日本テレコムが社内調査した際には、代理店二店が計八件の契約について申込書を偽造、架空の契約をしていたことが発覚している。“ソフトバンク嫌い”の総務省の言い分は鵜呑みにはできない。だが、ソフトバンクが一・七ギガヘルツ帯に参入できても、高度なサービスの提供には一兆円の資金が必要とされる。

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