イラクに派遣されている陸上自衛隊の派遣期間が、本来の期限である今年十二月から、さらに一年間延長される可能性が濃厚になってきた。インド洋に展開している海上自衛隊の艦艇に至っては、無期限延長の話さえ浮上している。 イラクの南部で活動中の陸自部隊、約六百人の派遣期間は昨年暮れに一回延長され、十二月十四日までとなっている。再延長について小泉首相は、「(期限が)近づいてみないとわからない」として判断を留保しているが、防衛庁幹部は「直前になって(延長を)決められても対応は無理。当面、派遣延長を視野に(交代要員となる)隊員の人選を進めている」と明かす。 イラクで死亡した米兵は千七百人を超え、米国内では「ベトナム化」との声も出る。すでにオランダ、スペインが撤収したほか、イタリア、ポーランドが撤退を表明、英国についても十八カ月以内の撤収が報じられている。沈みゆく船から逃げ出すネズミのように親米諸国がイラク離れを始める中、日本はどうするのか。 先の防衛庁幹部は、「まず米国から派遣延長を求められている。日米同盟を考えれば、延長以外に選択肢はない。早い段階で派遣延長を表明すれば、普天間返還などで難航している米軍再編協議も有利に進めることができる」という。だが、郵政問題で頭が一杯の小泉首相にそこまで見通す余裕はなさそうだ。

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