八月上旬、ロシア極東のカムチャツカ沖で浮上不能になり、英軍チームに救出されたロシアの小型潜水艇AS28は事故発生時、核戦略に絡む秘密任務に就いていたとの見方が出ている。 七人の乗組員には艇長の大尉の他、なぜか大佐が含まれていた。残りも技術将校で、水兵がいない。AS28自体が潜水艦救助や深海活動が可能な特殊目的艇で、今回は情報収集用海底アンテナの敷設に携わっていたとの情報もある。 母港のペトロパブロフスク・カムチャツキーは、太平洋に面したカムチャツカ半島南部にあり、冷戦時代は対米核戦略の前線基地だった。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)装備の原潜が現在も配備されている。カムチャツカも一九九二年まで外国人立ち入り禁止で、ロシア軍内部では、戦略拠点周辺に日米英の救出チーム出動を要請したことへの批判が出ている。 AS28が引っ掛かったのは密漁の魚網。軍高官は「ロシア軍の無力をさらした」とプーチン政権を非難し、モスクワの外国武官らは、腐敗・無力・外国頼みというロシアの弱さを象徴した事件だと冷笑している。

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