米国の前国務副長官のリチャード・アーミテージ氏は二〇〇〇年に出した「アーミテージ報告」の第二弾を年内にも発表する。氏は現在、コンサルティング会社、アーミテージ・インターナショナル・グループ(AIG)の代表を務めているが、前回同様、超党派で発表されるとみられる今回のリポートでは中国問題を中心に据える予定らしく、関係者の注目を集めている。 五年前のアーミテージ報告では、「米国と英国との特別の関係を日米同盟のモデルとみなす」として、日本に対し、憲法上禁止されていると解釈されている集団的自衛権の行使を迫った。九・一一同時多発テロを受けて、日本政府は自衛隊のイラク派遣を決めたが、その後に来日したアーミテージ氏は、「これほどのことが短期間に起こるとは予想していなかった。小泉首相と日本国民こそが(同報告での提言を実質的に)実現させた」と高く評価した。 新リポートと前回との違いは、テロとの戦いと中国が主要テーマになること。米国防総省が七月十九日に発表した中国の軍事力に関する年次報告書は、このまま中国の軍事力拡大が続けば、長期的には周辺地域への脅威となると警告している。 アーミテージ氏は、来春にも退任が噂されるラムズフェルド国防長官の後継候補に擬せられている。その氏が描く“中国シナリオ”は、今後の日米同盟の再定義論議にも、また影響を与えることになりそうだ。

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