四―六月期の営業損益が約百億円の赤字に転落した半導体大手のNECエレクトロニクス。売上高は前年同期比で二割減り、最終損益も六十三億円の赤字となった。通期の営業利益も前期比六割減の百三十億円まで下方修正、惨憺たる状況だ。 こうした中、同社の買収を韓国のサムスン電子が水面下で検討しているという。サムスン電子も四―六月期は純利益が前年同期比四六%減の千六百九十億円と大幅に減少。ライバルメーカーとの販売合戦で製品単価が下落した結果で、「業界の過剰供給体質が改善されない限り、業績の回復は難しい」(大手証券アナリスト)。そこで「ライバルを消すことで過剰供給を解消し、さらに自社にない技術も取り込む」(サムスン関係者)狙いだ。 NECエレクトロニクスの親会社、NECは業績が伸び悩んでおり支援は難しい。先行きへの懸念が高まっているNECエレクトロニクスは、現在、資本市場での資金調達環境も悪化しているようだ。サムスンは「まずNECエレに資本参加し、いずれ傘下に収める“二段階方式”で買収する」計画だと、ある米系投資銀行幹部は解説する。

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