日米が一九九六年に合意した沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地の返還に、白紙撤回の可能性が高まってきた。原因は沖縄県の「非協力的な姿勢」とされる。 滑走路を含む基地の移転先は、名護市東海岸の辺野古沖合の埋め立て予定地だが、工事は昨年暮れから進んでいない。那覇防衛施設局がボーリング調査のため沖合に設置した四本のやぐらに、建設反対を訴える十人前後の市民が乗り込み、作業の妨害を続けているからだ。 防衛施設庁関係者は「反対派の行動は不法占拠。警察が排除すべきなのに沖縄県当局は県警に出動を要請しない。沖縄ぐるみで反対行動を容認しているようなもの」と不満を漏らす。 もともと日米で合意したのは、杭打ち工法などによる撤去可能な施設だった。ところが、沖縄県側が滑走路の軍民共用を主張して施設そのものが拡大。さらに地元の建設業者が参入できるよう埋立工法への変更を求め、これを政府が受け入れて開始されたのが現在の作業だ。 にもかかわらず県側が非協力的な態度をとる背景として、稲嶺惠一知事の“左傾化”を指摘する声もある。知事は七月、米軍キャンプハンセン内に建設された都市型訓練施設の撤去を求める県民集会に参加、基地批判の姿勢を強めつつある。

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