イラクがイランへの傾斜を強めている。 七月六日、イランを訪問したドレイミ・イラク国防相はシャムハニ国防軍需相と会談し、防衛協力に関する了解覚書に調印した。両国代表から成る委員会を設置して、地雷の除去やイラク軍近代化など五項目の協力について話し合うことになった。 さらにジャファリ首相も同月十六日からイランを訪問して、十人の閣僚、宗教指導者らと会談し、両国間のパイプライン建設や、イランからイラクへの電力供給で合意した。パイプラインはイラク南部のバスラとイラン南部のアバダンを結び、イラク産原油をイランで精製し、石油製品をイラクに送り返す計画だ。イランがイラクの学校、病院などの建設に約十億ドルを援助することも決まった。 それだけではない。イラクが南部ナジャフに計画中の国際空港の建設にもイランが支援することになった。南部のイスラム教シーア派聖地カルバラを訪問するイラン人にとっては、バグダッド国際空港を経由する旅はますます危険になっており、ナジャフ国際空港建設は待望のプロジェクト。二千万ドル超の建設費の大半はイランからの低利融資で賄う計画のようだ。 イランの国教と同じシーア派の政党、ダワ党を率いるジャファリ首相は、旧フセイン政権下で一時期イランに亡命していたことがある。両国の関係緊密化は予想通りではある。

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