今回は門前払いではなかったが……(泉田・新潟県知事と広瀬・東電社長) (C)時事
今回は門前払いではなかったが……(泉田・新潟県知事と広瀬・東電社長) (C)時事

 瀕死の東京電力にこのところ“朗報”が相次いでいる。福島第1原子力発電所の汚染水漏れは、8月7日に安倍晋三首相(59)が打ち出した「国が前面に」の方針で政府に責任が転嫁され、その汚染水問題の影響で一時は危ぶまれた2020年の東京五輪開催も、9月7日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で決定。東電は「敗退原因」の汚名を着せられることを免れ、五輪決定の熱狂で汚染水問題の批判の矛先も鈍った。さらに9月27日には、黒字転換のカギを握っているとされる柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた安全審査申請にもこぎ着け、経済産業省や東電の幹部の間からは、「ヤマは越えた」と安堵する声さえ漏れてくる。だが、御用マスコミの曇った目はごまかせても、状況を冷静にみれば、懸案が何ひとつ解決していないのは誰が見ても明らかである。

 

流れはできた!?

「来年度(2015年3月期)中に柏崎刈羽原発が稼働する可能性が出てきた」

「修繕工事を繰り延べれば、今年度(14年3月期)黒字化は可能」

 柏崎刈羽6、7号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請したことを受け、9月28日に報道各社のインタビューに応じた東電社長の広瀬直己(60)は楽観的な見通しを次々に表明した。

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