1年近く続く罵り合い――離婚裁判の流れ1

執筆者:藤沢数希2013年10月5日

 それでは今回は離婚裁判の流れを説明しよう。離婚裁判とはいっても、手続き上の流れは通常の民事裁判といっしょである。ちがいは、前回説明したように、最初に調停を少なくとも1回やらなければいけないこと、そして、第1審が地方裁判所ではなく、家庭裁判所であることだ。

 

 まず原告(訴える方、以下は夫が原告と仮定する)が訴状を弁護士といっしょに作成する。これは数十ページからときに100ページ以上になることもある。そこで、どういう経緯で結婚に至ったか、どのような結婚生活であったか、そして、それがどのように破綻していったかが、説明される。

 特に重要な部分が、結婚生活が破綻したのは、全て奥さんが悪いということをしっかりと立証することである。奥さんが、家事(子供がいれば育児も)をまったくやらなかった、お金を浪費した、異常な性格であった、そして、浮気を繰り返した、暴力を振るった、などということがつらつらと述べられる。

 また、これは後でくわしく説明するのだが、どちらが悪くても、実質的に結婚生活が破綻しているならば、たとえ悪い方からの訴えであっても、別居期間が長期(最低数年以上-10年程度)にわたり、修復の見込みがなく、さらに未成熟子(扶養の必要が認められている子)もいないならば、離婚を認めようという、「破綻主義」に現在の日本の司法は傾きつつある。よって、夫がいかに奥さんを最初から最後まで愛していなかったのか、結婚は何かのはずみでやってしまった誤りであって、愛情などは最初からなかったのだ、ということも事細かに訴状に書かれていく。つまり、まったくもって愛情がなければ、修復の見込みもない、ということになるからだ。

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