米議会で吹き荒れる「チャイナ・バッシング(中国叩き)」。中国政府は七月、人民元を対ドルで二%切り上げて米中摩擦の嵐を鎮めようと動いたが、八月十二日に発表された今年上半期の米国の対中貿易赤字は過去最大を大きく更新。議会が休会明けとなる九月からバッシングが再び勢いづく可能性が高い。 議会の数多いチャイナ・バッシャーのうち主役級を演じるのが、民主党のチャールズ・シューマー上院議員と共和党のリンゼー・グラム上院議員の異色の超党派コンビだ。今春二人が上院に提出した対中報復関税法案は、本会議でいま採決されれば可決されかねない勢いで広い支持を集めている。 シューマー議員はニューヨーク州選出で、昨秋二期目の再選を果たした。その前には下院議員も務め、議会歴は約二十年と長いベテランだ。再選の原動力の一つが労働組合からの強力な支持。米労組は中国製品の流入による雇用喪失に強い危機感を抱いており、シューマー氏の目を中国問題に向けさせるきっかけになった。 同議員に対しては、世間の注目を集めそうな話題を嗅ぎ分け飛びつくのがうまい「オポチュニスト(ご都合主義者)」だとの悪評もある。人民元問題にタイミングよくかみつき、メディアへの露出度を一気に高めた点など、評判にたがわぬ抜け目なさをみせつけた。

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