中国の記者が来年から「マルクス主義報道観」をしっかり身につけているかどうか見極めるための試験を受けなければならない、というニュースが流れた。年に1度の試験に落ちたら記者は続けられなくなるという。この「マルクス主義報道観」については、共産党指導部が今年に入ってから新聞、テレビなどのメディア引き締めのためにキャンペーンとして盛んに宣伝してきたものだが、とうとう記者個人にも「圧力」が到達した形だ。

 そもそも中国の記者はゆるやかな資格制を採っている。メディアに属していれば記者証がもらえ、辞めると取り上げられる。メディアが基本的に公的機関なので、その組織が記者の身分を担保するようなものだった。中国の記者はいったん就職したら一生そのメディアで働くことが普通だったので、その制度で間に合っていた。

 ところが最近はメディアの数が増え、商業主義の色彩の強い夕刊紙や週刊誌も多くなり、メディア間の人の移動も活発化した。その結果、従来の組織主導型の記者管理ができないことに当局は頭を悩ましていた。

 そんな記者たちの引き締めに登場したのがこの試験というわけだが、そもそも「マルクス主義報道観」とは何だろうかと調べてみると、要するに「階級主義的にメディアを位置づける」ための考え方ということらしい。

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