離婚裁判はこれからいよいよ佳境に入る。尋問というのは、夫も妻も法廷に出てきて、裁判官の前でお互いの主張や反論をするので、ドラマなんかを見ていると、いかにも裁判という感じがする。さて、今回はこの尋問の解説をするはずであったが、ひとつ重要なことを忘れていたので、そのことを述べておく。それは何かというと、ビジネスマンにとって、離婚裁判はじつは楽である、ということだ。 これまでに説明した裁判の流れを思い出せば、どれほど離婚のための裁判が大変かと思ったかもしれない。その通りだ。そして、世間で売られている、離婚に関する本を読んでも、裁判というのは、時間的にも、精神的にも、非常に大変だと書かれている。その通り。 しかし、信頼関係のなくなった妻やその両親との話し合い、調停での調停委員との話し合いと比べると、じつは裁判のほうが楽なのである。なぜならば、あの電話帳ほどの厚みのある書面を書くのは、自分ではなく、弁護士だからだ。大変なのは、弁護士なのである。 妻との直接の話し合いがどれほど大変かは、個々の事情によると思うので、ここでは調停と裁判の違いを解説して、裁判のほうがいかに楽なのか解説しよう。 まず、もっとも重要なことは、調停は本人が行かないといけないが、裁判は、次回に解説する尋問以外、本人は行かなくてもいいのである。そして、裁判所は平日の昼しかやっていない。これが何を意味するかというと、調停では毎月会社を休まないといけなくなるということだ。これはビジネスマンにとってはかなりの負担になる。会社の上司に、来月のこの日は有給休暇を取ります、と毎月毎月言わないといけなくなるのだ。

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