ロシアのプーチン大統領が、ブレジネフ型の長期政権を目指し本格的な「廃藩置県」に乗り出した。 多民族国家のロシアは、民族単位のまとまりである「共和国」「自治州」「自治管区」と、地域単位の「州」「地方」などから構成されており、現在八十以上の自治体がある。プーチン政権はこれを中長期的に半減させ、中央集権を強化する計画だ。昨年はペルミ州とコミ・ペルミャク自治管区を統合。今年は、クラスノヤルスク地方とエベンキ、タイムイル両自治管区の住民投票で統合への支持を得た。カムチャツカ州とコリャク自治管区など他の統合計画も控える。 クレムリンの狙いは、二〇〇八年に任期が切れる大統領に三選を許す憲法改正と、連邦分裂の火種である民族単位の自治管区の消滅にある。憲法修正には、三分の二を超える自治体議会の承認も必要で、自治体は少ない方が有利。知事公選制の廃止と任命制導入によって落下傘知事を地方に派遣しているのも統制強化が目的だ。 もっとも、自らの出身地サンクトペテルブルクにからむ人脈を政財界に配置するプーチン流人事は、ウクライナ人脈に頼った挙句に「停滞の時代」を招いたブレジネフ元ソ連書記長(一九六四―八二年在任)の手法と似ている。大統領は最近、クレムリンの秘密会議で二〇一五年までの戦略課題を提示した。ソ連型の政治手法に頼り始めたプーチン政権の失速は不可避との見方も出てきた。

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