十一月のプーチン・ロシア大統領訪日を控え、ロシアのメディアが北方領土問題などで日本批判を大々的に展開しており、宣伝戦では日本が完敗状態になっている。 八月の対日戦勝六十周年に際しては、日露賢人会議の座長を務めるルシコフ・モスクワ市長が政府機関紙のロシア新聞に「ソ連軍参戦は国際的義務であり、日本の終戦を早めた」とする長大な論文を寄稿。同紙や国営RIAノーボスチ通信は、アナトリー・コシキン戦略策定センター研究員ら民族派学者を総動員してソ連軍参戦の正当性を強調した。 新たな傾向として顕著なのは、中国による日本軍国主義批判への同調だ。カムイニン外務省情報局長はトルード紙で、「(日本の)人間性に対する犯罪に時効はない」と指摘。ガルージン在日ロシア大使館公使は外交誌で「ロシアの北方領土領有は日本軍国主義の侵略行為の帰結」と書いた。 国営テレビでもこの夏、日本の軍国主義批判報道が何度も放送された。背後で「中国が資金工作している」(消息筋)との情報さえある。 対する日本側は、やられっ放しの状態だ。ロシア政府当局者は「日本側がどんなシグナルを返すか注目していたが、一切反撃がない。機能が麻痺しているようだ」と冷笑している。

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